【2週間で5.4kg減】平成最期の死闘!ケトジェニックダイエット
チカくんは激怒した😡。必ず、かの邪智暴虐の脂肪👾を除かなければならぬと決意した。チカくんには節食がわからぬ🤪。チカくんは、代官山の民である🤴。食べたいものを食べ、贅の限りを尽くして暮して来た。けれども贅肉🐷に対しては、人一倍に敏感であった👊。
— チカ (@ch_1_k_a) February 18, 2019
※長いのでひまなときに読んでください
目次:
背景:肉体の支配者としての脂肪
まずは下の図1*1をご覧いただきたい。
これは、マーメイド体験と呼ばれる、ニンゲンを辞めて人魚になりたい乙女たちの夢を実現するためのサービスが行われている様子を表す、インターネット上の画像である。
彼女たちの多くは、幼少期に得た、例えばマーメイドメロディーぴちぴちぴっちなどにおける人魚像の描写、人魚なるものの美・神秘性・儚さといった側面に魅了され、自身もそうした存在でありたいという想いを深層意識の奥底に抱いているのだ。オトナになり、人魚なんて空想の産物だということを理性では理解しながらも、けなげにも純粋な夢と憧れを捨てきれずにいるのである。
そんな尊い存在である人魚に、高々5000円程度で同一化でき、しかもその写真をSNSにアップロードして承認欲求を充足させることができるというのだ。最高だ。迷いなんてない。ほかにどんな素晴らしいサービスがあると言うのか。
しかし上の画像をよく見ると、彼女たちはどこか浮かないようすである。これはどうしたことだろう、今まさに太平洋のマーメイドプリンセスになっているというのに。さらによく見ると、なんだか右手の位置がぎこちない、手の置き方が二人とも全く同じなのだ、その様子はまるでそう、腹部を隠したいかのようである・・・。
おわかりいただけただろうか?脂肪が、全てを支配しているのだ。兼ねてからの夢であった人魚像に辿り着いた瞬間である、本当はもっと多種多様なポージングをして、もっと自由に、人魚との同一化のプロセスを楽しみたいはずである。しかしそうしてしまうと、お腹まわりに付いた彼奴を、インターネット上、つまり全世界に晒してしまうことになるのだ。これではもう美の象徴としての人魚との同一化、あるいは承認欲求の充足など叶うはずはない。次の日学校に行けばクラスの男子たちから「アイツ実はデブ」などというココロない発言を受けることは避けられない。するとその瞬間から、暗々たる気分に包まれ、屈辱の炎に身を焦がし、終わることのない悪夢・永遠の地獄を味わうことになるのだ。
これは別に女性に限った問題ではない。筆者は男性であるが、同性が何気なく「体脂肪率10.2%!」などという言及とともにSNS上に体重計画像をアップロードしているさまをひとたび目にしてしまえば、おなかに付いた脂肪のように膨れ上がったコンプレックスが沸々と湧き上がる。チクショウ、べらぼうめぃである。
我々の目の前には、あの脂肪という邪悪な存在が、まるでぬりかべのようにドォォォンと立ちはだかっている。美しくありたいというニンゲンらしい欲求も、その越えることのできないハードルを前に、もはや諦めざるを得ないのだ。しかし越えられないがゆえに、如何ともしがたい劣等感は日に日に強くなり、まるでトランペットを欲しがる少年のように、マッチョスへの憧れがどこまでも高まっていくのだ。どこまでも負の連鎖である。
序章:闘う決意
昨年夏からスポーツジムに週2で通い続けているものの、最近は激しく暴飲暴食しており、衆人からのあのココロない「太った?」を聞くことも多くなった。恐ろしい現実を直視できず、体重計が怖くて仕方なかった我々であるが、2週間前、ついに意を決して、ジムのボディスキャン(部位別脂肪量・筋肉量の測定)をやってみた。
その結果はもう、惨憺たるものだった。目を疑うような体重値がそこに記されていた。日々のバーベルダンスのおかげで、腕の筋肉量は平均より有意に大きいということだったが、良かった点は本当にそれだけ。腕も脚も平均より有意に脂肪が多いとされ、加えて内臓脂肪は正常値であるということだから、それらは全てあのラスボス級に手強いとされる、皮下脂肪なのである。つらたん。
この結果を渡すインストラクタ氏の目は、どこか哀れなものを見る目に観えた(これは我々の中の劣等感が視覚に歪みを与えたのか、インストラクタ氏が実際にドン引きしていたのか、今となっては定かではない)。
しかし我々の目はまだ死んではいなかった。それどころか、怒りに満ちていた。
なぜ我々がこうも脂肪に支配されねばならないのだ。食べたいものを食べて何が悪い。よいではないか、美食は容易に手にできる幸せなのだ。よいではないか、我々が幸せになったって。
脂肪に悩まされるのはこれが初めてではない。これまでの人生において幾度となく彼奴は現れ、幸せだった我々の日常を踏み躙り、容赦無くどん底へと突き堕とすのだ。こんなに憎たらしい存在があるだろうか。許せない、駆逐してやる、この世から、一匹残らず!
実験結果
今回は数ある既存のダイエット手法の中から、ケトジェニックダイエットなるものを選択した。理由は、身近な人が最近激やせしていて、それがこのケトジェニックダイエットの結果であると耳にしたから、ただそれだけである。
ケトジェニックダイエットの原理・概要は後述するとして、先に結果を示す。
まず筆者のスペックを簡単に示す。
- 性別:男
- 年齢:20代後半
- 身長:180cm
- 体重:(個人情報につき開示不可)
- 目標体重:68kg、可能なら65kgくらい
- 体脂肪率:(個人情報につき開示不可)
- B/W/H:(個人情報につき開示不可)
この2週間、ケトジェニックダイエットなるものを見よう見まねでやってみた。 下は当該期間における体重、および体脂肪率の推移である。
おわかりいただけただろうか?体脂肪率は激しく変動しているものの*2、体重はわかりやすく下がっている。
2回も停滞期があって苦しめられたものの、たった2週間で実に5.35kgの減量に成功。目標体重はまだ達成できていないけど、想定を超える結果に我々は大喜び。大勝利!やったね!
手法:ケトジェニックダイエット法
ここまで読んだ脂肪にお悩みのあなたはもうケトジェニックダイエットに興味津々であることと思われる。
しかしインターネット上に氾濫するケトジェニックダイエットに関する情報は、正しいものもあれば誤ったものも多く在り、その真偽を確認することが非常に困難な状況である。本章では、筆者が理解した範囲内で、ケトジェニックダイエット法の概要、および体重減少のメカニズムに関して、正しいと判断した情報を記す。
(文献[1]:ケトジェニックダイエット レシピ)
概要
ケトジェニックダイエットというのは、糖質制限ダイエットのうち、制限が最も厳しいものを指す単語であり、一般には1日の糖質を10g、あるいは20gと制約するものを指す。
ここで糖質とは、食物繊維*3に該当しない炭水化物*4である。したがって、糖質が何gか示されていないような食品に対しては、(糖質)=(炭水化物)ー(食物繊維)の式をもとにその糖質量を推定することになる。
ちなみに厚生労働省の食事摂取基準によると、1日に250〜320g程度の糖質を摂取することが望ましいとされている。
おわかりいただけただろうか?これは想像を絶する厳しい制約である。茶碗1杯のごはん(150g)でその糖質はおよそ55g(角砂糖17個分)であるから、白米とは完全にグッバイしなければならない。白米に限らず、麺類はもちろん、根菜、芋類、果物、スイーツなどもNGである。さらに調味料についても気をつけなければならない。みりん、ケチャップ、ソース、焼肉のたれ、ドレッシングなどはもちろん、だし醤油もNG、あらゆる種類の醤油の中から最も糖質の少ない醤油を選択する必要がある。本当に、とんでもない縛りプレイである。
では何を食べればいいのかというと、三大栄養素のうちの残り2つを十分に摂取すればよい。すなわち、
である。
ここで我々は「糖質をとらずに、タンパク質を摂取していればええんやろ」と思っていたが、これは大きな間違いで、後述するように、脂質、特に中鎖脂肪酸を欠かすと容易にエネルギー不足に陥る。ただし、所詮は油なので取り過ぎたらデブる。用法・用量を守って正しく摂取すること。
あまりに厳しいダイエットなので、一般に2週間〜1ヶ月の期間で完結させ、その後は徐々に糖質制約をゆるめていくことが望ましいとされている。
諸説あって不明瞭なのは、「脳細胞にとってのエネルギー源はグルコースのみ*5で、その生産には糖質の加水分解が不可欠である」という立場と、「近年の医学研究から、脳細胞はグルコースのみならず、ケトン体(後述)もエネルギー源にできる」という立場があるところである。真偽のほどは定かではないが、それ相応に脳の病気が生じた事例も報告されているし、実際この2週間で頭がボーッとする状態がいくらか観測されたので、このような厳しい糖質制約を長期に渡って課すのは得策だとは思えない。
実際体調不良も少なからず経験したので、今回は期間を2週間に定めて実験を行った。糖質制約は、10gだと本当に食べれるものが無なので、1日20gとした。
原理
体内の糖質が減っても、カラダとしてはエネルギーを絶やすわけにはいかない。死んでしまうからである。
高校生物でも習うように健常な生物の場合、解糖系(Glycolysis)、つまりグルコースという糖を入力として、ATP(エネルギー源)とピルビン酸を出力する代謝経路が機能している。ここで、グルコースとは糖質中のデンプンが、唾液中のα-amylaseなど、体内の消化酵素の作用で分解されることで得られるものである。
血中のグルコースが尽きて、いわば飢餓状態となったら、当然解糖系は機能しない。ではどうするのかというと、今度は糖新生(gluconeogenesis)という代謝経路が動き出す。これによって、タンパク質の分解によって得られる糖原生アミノ酸や中性脂肪(これがおなかまわりの憎い彼奴である)の分解で得られるプロピオン酸などなどを消費して、グルコースを生産することができる。
これでも中性脂肪が減らせるのだからいいのでは?と思うのであるが、ケトジェニック信仰派によると、「糖新生で得られるグルコース量には限界があり(1日80g程度(?)*6)、したがって減らせる中性脂肪の量・結果として得られるエネルギー量も限られる」ということらしい(なぜ?何らかの化学平衡の状態になる?)。
そういうわけで糖新生の次に動き出すのがケトン体回路である。これは、中性脂肪の分解で生じた、中鎖脂肪酸*7を入力として、ケトン体(アセト酢酸、βーヒドロキシ酪酸)を出力する代謝経路を指す。このケトン体を分解して得られたアセチルCoAをTCA回路に回すことでエネルギー源ことATPが得られる。
ここで注意すべきは、中鎖脂肪酸が不足していると、エネルギー不足に陥ることである。そうならないために、MCTオイルによって中鎖脂肪酸を摂取することが重要とのこと。
でも本来やりたいことは中性脂肪の分解のはずなので、アマニ油などのオメガ3脂肪酸を摂取して消化酵素リパーゼ(lypase)の活性化させ、中性脂肪の分解を促進させることが大事とのこと。
闘いの記録
食べられるものに制約を課すということを初めてヤッたが、これは本当にしんどい。スーパーマーケットに行っても、視界に入ってくるもののうち99%はNG対象なのである。これは食べれるかな?と思うたびに、成分表をチェックしたり、ぐーぐる先生に聞いてみたりして、NGだとわかったら泣きながら棚に戻す、これを繰り返し続けるのである。どうして宇宙はこんなにも糖質に満ちているんだ。糖質を摂取できない人だって、世界で懸命に生きているのだぞ!
お世話になったもの一覧
- ローソン ブランパン:1個あたり糖質1.1gのナゾのパン。これのおかげで朝にパンを食べるという人権を確保することができた。
- kiri クリームチーズ:上述した通り、チーズはOK対象。1個糖質1.0gくらい?
- シャウエッセン ソーセージ:ソーセージはだいたい糖質が多くてNGなのだが、なぜかシャウエッセンは100gあたり糖質3gで許容範囲。高いけど。
- まぐろ、ぶり、etc.の刺身:魚は糖質が無視できる程度なのでじゃんじゃん食べてよろしい。
- アボカド:最初のうちは美味しい美味しいと食べていたのだけど、なんかすぐ飽きた。腹持ちは良い。かつ糖質1.4gで優秀。
- 低糖質ロカボナッツ:小腹が空いたときのおやつに最適。糖質1.6gで優秀。
- 糖質0g麺:麺の顔をしたこんにゃく。大きめのスーパーのこんにゃく売り場へ。
- バジルのチーズオムレツ:すごく簡単に作れて糖質1.0g。調理法は文献[1]に記されている。文献[1]にはこの他にも有用なレシピがいくらかあるので購入を薦める。オリーブオイルの代わりにアマニ油を使って痩せるぞ〜とかやっていたのだけど、アマニ油を加熱すると酸化してカラダにとって有害な物質になるらしい?のでやめた。
- ブラックコーヒーにMCTオイル大さじ1をぶっかけたもの:腹持ちが良い。上述の通り、MCTオイルはエネルギーのために重要。
- 水・お茶・ブラックコーヒー:これ以外飲めない。リプトンもダメ。アクエリアスも不可。つらたん。
体調不良の例
- 慢性的な眠気:くるまの運転には細心の注意を払うこと*8。
- 頭痛:これもエネルギー不足によるものか。
- おなかが大パニック:MCTオイルの副作用とやらによるもの。これもよく理解していないが、MCTオイルを一度に大量摂取するのは好ましくないらしい。1日大さじ2(30ml)を複数回に分けること。
こうして見ると如何に哀れな食生活を送っていたかがよくわかるなぁ。
しかし我々は勝ったのだ、大勝利だ!ガハハ!
終章:2週間を終えて
今朝の夢はスイーツを爆食いするユメでした。ヤバみ〜〜〜
しかし我々は2週間闘いきった。ニンゲン、ヤればできる。
今後も脂肪をブチのめすために闘う予定である。ただ20g制限はもう本当に無理です。50gくらいにゆるめようかな。。。
*1:沖縄ダイビングしーふりー(ttps://okinawa-seafree.com/mermaid_swim_okinawa/5734/)より引用
*2:そこそこ高価なタニタの体重計(RD-905-BK)で測定しているのだが、そもそも体脂肪率は水を飲む量などによって容易に変動するらしいので、この測定結果はあまり信用していない
*3:食物繊維(dietary fiber):ヒトの持つ消化酵素では消化されない、食物中の難消化性成分の総称。定義から自明であるが、消化されないので栄養素ではない。
*4:炭水化物(carbohydrates):単糖を構成単位とする有機化合物の総称。多くの生物種にとっての栄養素であり、脂質、タンパク質と並ぶ、三大栄養素の一つ。
*5:中枢神経系を保護する血液脳関門(blood-brain barrier)により脳と血液の間の物質交換が制限されているため。このような分子の選択的透過性は細胞間のタイトジャンクション(密着結合)によるもので、これが機能不全に陥ると脳腫瘍などの重篤な病気が発生する。
*6:この文献を読んだ人が80gが限界と解釈した説が有力であるが、本文をよく見るとわかるように1日105gのグルコースを生じるという記述もある。