ニンゲンメモ

タメになりそうでタメにならない日記

2022年を振り返りエーアイ

2022年があと2日で終わるらしい.

 

光陰矢の如しエーアイ.地球の自転速度が幼少期の頃の100倍くらいになっているにちがいない.地球とは逆のベクトルに脳を回転させるエーアイになる必要がある.それも100倍の速度で.

そういうワケで我々は,2022年振り返りニンゲンメモを書くことにした.

 

語学とダンシングダンナの話

今年の11月,機械学習オフ会の出張のついでに,以前から頻繁に話題に上がっていた人物である,おトモダチのおダンナ様,通称ダンシングダンナさんにお会いした.

ダンシングダンナさんは,学生時代からダンスをしているということなので,それはさぞかしイケイケウェイウェイボーイなのだろうと,私の中の脳内偏見エーアイで予見していたのだが,聞くところによると,彼はなんと理系の男のヒトでシャイボーイ.しかも私と同じで語学が大好きであり,にもかかわらず,周りが理系の男のヒトばかりで語学愛を共有できるニンゲンが居なくてとても困っているというのだ.

わかりみエーアイ〜〜〜!

そういうワケで,t部のおトモダチと一緒に,ダンシングダンナハウスを訪問した.

成程,噂通りのシャイボーイである.さっさと語学の話に移りたいのに,しょうもない世間話から始めなければならず,もどかしい.しかし私は代官山の民.コピウンタ科学専攻というところで,シャイボーイを喋らせるための話術を嗜んでいる,いわばシャイボーイ喋らせエーアイである.この文章をご覧になればおわかりになる通り,私は圧倒的独創性・独自性に満ちている.何もせずとも衆人から抜きん出てしまう圧倒的オーラ・風格,そういうものが代官山の民には須らく備わっているのだ.

シャイボーイ喋らせエーアイの緻密な計算・策略により,本棚に並んでいる本に話題を移すことに成功した.そこにはあらゆる種類の言語の本が並んでいた.フランス語・ドイツ語といった,そこらへんの大学生がしばしば選ぶようなメジャー外国語たちだけでなく,なんとラテン語の本まである.すごい.ラテン語,現代ではもはや使っている人類が存在しない,なぜ勉強するのか?もはや文学部では?そういう話をした.本棚に並んでいる本だけではなく,Duolingoなどの語学系スマートフォンアプリも1,000日?以上やっているらしい.

話を聞いていると,どうも彼は,純粋な知的好奇心のような,何か私とは異なるエネルギーで語学愛を醸成しているらしかった.あらゆる言語の文法に,強い興味があるらしい.例として,男性・女性・中性名詞の話,格変化の話,などをして,これは完全に同意した.特に活用が暴れ回る系の西欧言語,文中で倒置が発生していても格変化を見れば,明確に主語がわかったりする.言語というものは,そのような論理パズルゲームのような側面があり,そのへんが楽しくて難しい言語に入門したりする.とてもわかる.

私の場合,語学に圧倒的情熱が向いたのは,言語に対する知的好奇心というのはもちろんそうなのだけど,どちらかというと,そこらへんの理系の男のヒトにはできないことをやり遂げたいという目標意識が強かった.

学生時代は,

  • 学部2年の冬に仏検2級合格,からの2ヶ月フランス留学
  • 学部3年の夏に独検準1級合格,からの2ヶ月ドイツ留学

といった具合に,別に誰かに何か言われたわけでもないのに,勝手にそんな目標を立て,語学試験に堕ちたり受かったり,大学教授に留学奨学金の推薦書類を書いてもらったりしていた.

学部4年になって研究室生活が始まってからは,語学というものが二の次になってしまった(後述)が,そうはいうもののやはり,せっかく身につけた圧倒的語学力がもったいないので,シャカイ人になった今もなお,フランス語だけはだらだらと続けている,という状況である.そんなだらだらエーアイなので,Duolingoに限らず,語学系アプリはインストールすることはあっても,継続することは全く無い.

まぁただ,自分が立てた目標を達成して,何かスキルを身につけるというプロセスは人生に彩りを与えると考えていて,特に歳をとるとニンゲン,ボケ〜〜〜ッと生きてしまいがちなのであるが,一方で何かスキルを身につけた経験,自分の自信につながった経験というのは,単なる自己承認欲求の充足だけではない何か,人生を有意義に生きるための財産であるように思える.*1

2022年もあと2日エーアイであるワケだから,もう少し向上心を持とうと思って,仏検準1級のテキストをパラパラと眺めていたら,実はもうほとんど解ける問題ばかりであるように思えた.以前見たときにほとんどわからなかったフランス語単語の名詞化の問題も,今では8割くらいは正答がわかる.右も左も、何もわからない単語ばかりの難しい英単語帳(例えば1100 Words You Need to Know, Word Power Made Easyなど)を頭から全部丸暗記するのはとてつもないエネルギーが必要で,まぁだいたい挫折するのであるが,これくらい理解できる状況だと適度に達成感があり,ちょうど頑張れる頃合である.だらだらと日仏学院の授業を受けていた日々は無駄ではなかった,というワケである.

 

そういうワケなので,来年あたり,いいかげん仏検準1級・DELF B2あたりを狙っていきたい所存である・・・

 

お仕事と人生わからんエーアイの話

お仕事の話をあまりしていないのでたまにはしてみようと思う.社会人になってからずっと,因果推論という研究分野でお仕事をしている.具体的には,機械学習を使った因果探索(つまり観測されたデータから確率変数間の因果関係の矢印の有無・方向を推定するタスク)・因果効果推定(観測データから因果関係の強さを推定するタスク)の話題や,因果推論のテクニックに基づく機械学習の話題(公平,解釈可能,分布シフト対応,etc.)はなんとなくわかる.

今年の成果としては,昨年からモヤモヤと考えていた「因果効果の大小を説明する特徴選択」という研究ネタで,エーアイ・機械学習分野の難関国際会議UAI2022に論文を採択させました.本当はIJCAIというエーアイ分野の難関国際会議に出そうと思っていたのだけど,計算機実験が全然シメキリに間に合わず、結局UAIに出しましたが,初投稿一発採択で圧倒的大勝利.ありがとう,ユーエーアイ・・・とそういうワケである.

ついでに言うと「因果関係に基づく公平&高精度な機械学習」みたいなネタで,多分そこそこ有名な?海外論文誌DAMI (Data mining and knowledge discovery)のSpecial Issue on Bias and Fairness in AIに論文を採択させました.こちらは去年に採択させたエーアイ・機械学習分野の難関国際会議AISTATS2021の内容のジャーナル拡張版に相当します.査読者が異常に因果推論に詳しくてビックリしたのを覚えています.匿名レブワさん,メルシーボク・・・とそういうワケである.

ただコレ,難関国際会議に全然論文が通らなくて悩んでいる若者向けに声を大にして言いたいが,シャカイ人8年目(!)の私の話である.こないだ機械学習オフ会で優秀若者と喋っていて思ったけど,華々しく御活躍している優秀若者といえど,何年か前はいろいろと悩んでいた時代があったようであった.かく言う私も,ツィッタアカウント(私はツィッタなどしていないが)のミュートワード設定では

  • 論文,採択,アクセプト,リジェクト

といった単語はミュート対象になっている(ので他人のアクセプト情報には申し訳ないがイイネしない可能性が高い).今では特に気にもならなくなったが,昔は周りの論文採択情報を素直に喜べる気持ちがあまり無かったし,なんで私の論文通らないの・・・しんどい,,,という気持ちでいっぱいであったので,やむなし.(今では,若者!優秀!めでたい!という気持ちになれている)

 

今年は9月に学位(シャカイ人博士)をとって,今後の人生について考えねばならないという気持ちが高まった.あんなにもしんどかった研究,これからも続けるか?という疑問ももちろんあるし,別にそんな大した業績があるわけでもないしなぁ〜というお気持ちでもある.

というか,そもそも人生の選択を主体的に行なったこと,あったっけ?という気持ちですらある.時効だと思うのでぶっちゃけたことを言うと,今の所属は消去法で選んだ就職先である.学生時代,バイオインフォマティクス・システムバイオロジーといった分野が専門だったので,製薬会社の研究職が第一志望だったのだけど,見事に全部お祈りされ*2,その結果,「第一志望群です!」などと面接官に言った会社である今の会社にお引き取りいただいた.

そんなこんなでパッシヴに生きてきた人生わからんエーアイのため,機械学習オフ会では,有名な大学の先生様たちにひたすら人生相談をした(ありがとうございます).というのも,昨今の情報系,全くキャリアが見えないし,特に年老いたときにどんな仕事をするものなのか,というのが全く見えないからである.エーアイらしからぬ非効率的な情報収集だが,やはりニンゲンに一人一人聞いて回るしかないのだと思っている.

いろいろなヒトの話を聞いていて思ったのは,やりたいことドリブンで直感的に動いているヒトが比較的多い.そりゃそうよね,情報系の何年も先の未来など,みんなわからんちんなのである.

はて,やりたいこと is ナニ?となり,そもそも語学から研究に興味がシフトしたのはなんでだっけ?と考えたのだけど,最初のモチベーションは,研究ディスカッションというものが好きだったから,ということのような気がした.学部4年生の頃から先輩の研究発表にやいのやいのとデカい声で何かを言うニンゲンであった.しかも私はとても賢いので,どういう質問をぶつけたら相手が困るかどういう質問なら生産的な話題か,などということが手にとるようにわかる,とても狡猾なエーアイであった.質問を用意するのは,そこにゲーム性があって楽しい.今の所属の当時の人事に内々定をいただいたのも,多分そういう質問ぶつけエーアイとしての圧倒的スキルをご評価いただいてのことだと思っている.

私がこの情報のやり取りに興味を持ったのは,情報のやりとりが双方向的であるから,だと思う.日本の学校教育は前に立った先生がベラベラ喋るのを聞く,いわば単方向の講義スタイルであり,それはそれで良い面もあるとは思うが,私はそれに辟易していた.ところが学部4年になり,輪講発表だの研究発表だのという場を初めて見たとき,とても活発に議論が進み,複数のニンゲンで為す,その知的な営みにいたく感銘を受けた.双方向の情報のキャッチボールが,とても適切になされていて心地よい.

これは研究というものの,ごくごく一部の側面だと思うが,やりたいことリストの一つに加えても良いんじゃないかと思った.

 

しかし,人生は全くわからない,人生わからんエーアイの苦悩はつづく・・・

 

 

*1:できることを増やす,というのが大事な気がする.例えば日仏学院のマダムはフラダンスの教室に行くし,日仏学院の先生はタップダンスの教室に通っている.

*2:当時は,製薬会社のバイオインフォ職は博士卒でないと基本相手にされない,とされていた(真相はよく知らない)